Google: ハリウッドの圧力に屈っし"torrent"関連キーワードを検閲

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MPAAやRIAAに代表されるエンターテイメント産業の圧力に屈っし、torrent関連のキーワードを表示しないように変更したようだ。数週間前「piracy」関連キーワードをautocompleteとinstant機能から除外すると発表、現在これが有効になっていることがわかった。

「検索禁止用語」の例

  • uTorrent
  • BitTorrent
  • torrentを含むコンビネーションは一切排除。Ubuntu torrentも出てこない
  • RapidShare
  • Megaupload

ランダムなフィルター

驚いたことに、フィルターされているキーワードリストはランダムに選ばれているようだ。uTorrentやXunleなどBitTorrentのクライアントが含まれているが、BitCometやVuzeは対象になっていない。RapidShare、Megauploadなどのサイバーロッカーはフィルターされているが、4shared、HotFile、MediaFireは除外されていない。一番おかしいのは"The Pirate Bay"がフィルターされていないことだ。

フィルターの対象となっている中国のBitTorrentクライアントXunleはGoogleが投資した企業だ。

検閲された企業の声

BitTorrent社
「ユーザの求める検索結果を出すためのアルゴリズムを決めるのグーグルの権利は尊重するけど登録商標である社名はユニークなものであり、5ー6文字入力したユーザは他の企業名と同じように結果を得られるべきだと思う」

「‘BitTorrent’を検索してみると弊社の会社情報、ソフトウエア、オープンソースプロトコルなど、色々な合法(正当)なリンクが出てくる。グーグルは気付いてないのかもしれないけど、この技術は多様な目的で利用され、テクノロジー業界、企業、アーチスト、消費者はこれに大きな価値を見出している」

RapidShare社:
RapidShareは世界で最も人気のあるサイトの一つだ。「毎日数十万のユーザが完全に合法な目的を果すために使っている。グーグルはsuggestのアルゴリズム結果の検閲をやり過ぎている。検索エンジンの結果はGoogleや第三者の意図でなくユーザの興味の対象を反映させるべきだ。」

エスカレートの恐れ

RapidShare社の言い分に共感する人は多い。このフィルターがエンターテイメント業界の圧力の結果だというのは明であり、ユーザの求めるものではない。グーグルは商業的な理由により結果を検閲し始めたので、同じようなことを求める企業はもっと出てくるだろう。エンターテイメント業界は更に圧力を増し、検索結果自体の検閲を求めるだろう。

ユーザはBitTorrentというキーワードを検索しなくてもいいとグーグルは決めた。それなら、検索結果自体に出す理由もない。これは終り(完全な検閲)の始まりだ。

Vodoはアーチストが作品を億単位の人に無料に配分できるサービス。ファウンダーJamie Kingは、完全に合法なリリース(作品名)を入力するとtorrentが表示され、ダウンロードページへのリンクが出ていたが、これが消えたと言う。

Googleは一番高くビッドする者のためには検閲をする意思があることを見せた。China Inc.が思い当たる。今度はMPAA & Co.のためにやっているだけだ」

「簡単なことだ: 私達のお気に入りの検索独占企業はBitTorrentで合法に共有可能なコンテントを配布している数多くのindependentなクリエータよりも、死にかけているBig Mediaの利益を守ることを優先しているのだ」

たしかにグーグルはいくつかの大企業のために意図的に幅広い検閲をすることにより間違えた方向に進んでいる。こんなことをしてもpiracyは無くならない。企業によってコントロールされたインターネットになるだけだ。グーグルは政治的な検閲問題のために中国から身を引いたことを誇りに思っているかもしれないが、世界中で商業的検閲していることを恥じるべきだ。



こういうエンターテイメント(特に音楽)業界のインターネットに対する悪足掻きを見ていつも不思議に思う。こいつらは本当に新技術が業界を駄目にしていると信じるほどアホなのか? それとも実はもっと悪賢く、デジタルテクトロジーが彼らのこれまでの価値命題を無意味なものにすると気付いてその未来を戦略的に阻止しようとしてるのだろうか?

これまでの音楽業界のvalue propositionはプロモーションと配分だった。アーチストをプロモートし、レコードやCDを刷る。このどちらの機能もネットの方が遥かに効率的に行なえる。つまりレーベルは存在価値を失ないつつある。アーチスト側としても、ほんの一部の成功例以外にとっては全く割に合わない話だ。いや、成功例の話を聞いても相当酷い条件のようだ。(Frank ZappaはWarner Brothersとの契約を地獄に例えた)

アーチストは自分でサイトを運営し、youtubeでPRし、上記のBitTorrentサービスで作品を配分すれば殆どの場合レーベルと契約結ぶより割がよく、自由度の高い展開ができる。(新しい音楽ビジネスの展開については機会があったら紹介していきたい) 一方、これもユーザが求めている形態だと思う。

音楽業界という門番を抜きにアーチストから消費者へ直接作品が届けられるという事態を避けたいのだ。つまり著作権侵害を語っているが本当の敵はネットを介したアーチスト直接の合法的配分だと思う。

リエータから消費者へ直接配分される将来を避けるためにかなり大掛かりな工作を試みている。大失敗したマイクロソフトVistaがその一例だ。あれはユーザからコンピュータとコンテンツを「守る」ためにハードやドライバレベルまで防衛策をこうじたものだった。「Trusted Computing」とか呼んでいたが、ユーザがマシンを信頼するのではなく、コンテンツ業界がユーザが想定外のアクセスをしないようにマシンを信頼できるというのが本当の意味だった。クリエータから消費者への道程の一部(=端末マシン)を完全に制御すれば、門番として存続できるという考えだ。マイクロソフトもこれを実装すればコンテンツ業界との関係を独占でき、消費者の居間を欲しいがままにできると考えたらしく、この作戦に乗ったわけだ。

Sonyがセキュリティー研究者の口を塞ぐのに使っている法律(DMCA)もコンテンツ業界が買ったものだ。消費者に対する横暴な訴訟も同様。

そして上に見る著作権侵害を訴えるインターネットの検閲もこの生存策の一環と言える。なぜ、コンテンツ業界はここまでして現実と戦うのか。なぜ、他の業界のように現実に対応し、新しい価値を見出すことをそこまで拒むのか? 今の立場を利用し上手く展開すれば今迄以上の成功ができるかもしれないのに。

これは利権主義によって形成された業界の体質だと思う。コンテンツ業界の中枢に著作権がある。これは政府が与える作品というリソースに対する独占権だ。御上のから独占権を与えられ潤う -- 利権主義に一度溺れてしまうと体質的にビジネスとして再起することが不能なようだ。