「もしもし。スティーブですが」

アップルの製品について苦情を出すと、スティーブからメールが来るという話をたまに聞く。差出人はジョブスってことになっているが本当に本人から来ているのかPR係が書いているのか、メールだと区別がつかない。本人かどうかについて、アップル観察者の間では意見は一致していないようだ。

しかし、電話だとそいういう曖昧さがない。
先日iPhoneのアプリをストアで拒絶された開発者に電話がかかってきた。「ラムさん、スティーブです」 アップルからかかってきている。「スティーブって、もしやあのスティーブですか?」とでも聞いたのだろうか、確認してみるとジョブスだと答えたそうな。

http://blog.cascadesoft.net/2010/10/31/a-zombie-keyboard-an-app-store-rejection-a-call-from-steve-jobs-and-the-economy-for-ipad-app/

まさかアップルからジョブスを偽って客に電話をかける奴はいないだろうから本物と考えていいだろう。

アップストアで拒否された理由は「private API」を使用しているから。ただ、彼の場合、公開APIのバグ回避のためのやむおえなくの使用なので、例外として認めてくれないかと懇願した。しかし「private API」は駄目というスタンスを崩さなかった。

ユーザの文句メールの返答を本人がしているっていうのもまんざらでない話ってことになる。アップルという巨大企業をレーザーで照準を合せたように動かしていく稀に見る天才経営者だが、ハイレベルなことだけでなく、このような泥臭い作業もやっている。このレベルでこれだけの詳細をカバーしているリーダーは少ないだろう。目の前の詳細をこなしながらも大きな流れを見据える能力がジョブスの秘密なのかもしれない。

ちなみにラムさんはprivate APIによる回避を必要とした機能自体を変更してたら審査を通ってダウンロード可能になったらしい。普通数日から数週間かかるところだが、この迅速な対応からしてもジョブスの決断が見える。というわけでメデタシメデタシ。アプリは合州国経済状況を見せるものらしい。 http://cascadesoft.net/EconomyForiPad.aspx