YCombinatorがハリウッドに宣戦布告: 「ハリウッドを殺せ」

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RFS 9: ハリウッドを殺せ

ハリウッドは全盛期を過ぎた。(カメラフィルムやタイプライターのような)普通の産業なら穏かに20年ほどかけて停滞していくだろう。しかし、これは普通の産業ではない。この産業を動かす連中はかなり意地悪で政治的コネクションも強いので、堕ちていく過程で市民の自由や世界経済にかなり打撃をあたえうる。だから、彼らの終焉を早めた方がいい。

映画やテレビと競争するスタートアップに融資したい理由の一つがそこにあるが、これが主な理由ではない。このようなスタートアップに融資する理由は世界をSOPAのような法律から守るためではなく、SOPAがハリウッドが死にかけているという事実を我々に気付かせたからだ。このような手段を使うということは死にそうだからに違いない。もし映画やテレビが伸びつつあるなら、彼らはその成長に意識を集中するだろう。フォワードがペナルティーエリアでファウルされてもボールをコントロールしている限り止りはしない。競り負けたときだけ審判に訴える。SOPAはハリウッドが負けたということを示している。

ではどうやって映画・テレビ産業を殺すか。いや、(このレベルでは技術進歩は避けられないので)何が彼らを殺すのか、と問う方が正確だ。彼らが信じたがっている死因、つまりファイルシェアではないことはまず間違いない。映画・テレビを殺すのは既に彼らを死ひ追いやりつつあるものだ。つまり人々を楽しませるより優れた手段だ。ということは、この問題への最善のアプローチは、20年後の人々は今と違ったどういう楽しみかたをするのだろうかということを自問することだ。

答はいくつか考えられる。番組を制作し分配する新しい手段。ゲームのように、番組のようだけどもっとインタラクティブな新メディア。ソーシャルサイト・アプリのような映画やテレビと競争するという点以外ではあまり共通点のないもの。最高のアイデアは最初は映画・テレビ産業に仕えているものに見えるかもしれない。マイクロソフトIBMに一発くわすまで彼等へのテクノロジーサプライヤーに見えた。Googleはヤフーに同じようなことをした。

人々がテレビを見るかわりにもっと運動をして友人や家族と時間を過すようになればそれにこしたことはない。そうなるかもしれない。全てが同じ条件ならそういうアイデアを聞きたい。しかし全ての条件は確実に同じではない。人々の20年後の楽しみ方はもう決っているだろう。勝利はそれを実現するというよりは発見する者が得る。少なくともこの点においては歴史を変えることは無理だ。しかし、歴史を加速させることは可能だ。

君が創りうるもので、最高に楽しませてくれるものは何か?

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RFS 9の意味は不明。
この文は明かにPaul Grahamのものだ。でもいつもの練りに練ったエッセーに比べてちょっとラフな感じがする。ネットがSOPAを打ち破った勢いで書いたのだろうか。
ポールは信念による政治的な意見は表に出さず、全てはスタートアップの成功のために最適かつ理性的というスタンスをとりがちだ。しかし、実は他のgeek達と同じようにポールもSOPAに代表される既得権益産業の横暴に怒っているのかもしれない。スタートアップの成功とは別に「こいつら俺が潰す!」という意気込みがあるのかもしれない。そういうのもいいと思う。
法律を買収することにより利益を確保しようとする産業は俺も許せない。それ以上に映画ファンとして今のハリウッドは見るにたえない。ここまで堕ちたら悪足掻きをするより尊厳を持って死んでもらいたい。そして、マックとデジタルビデオカメラとクレジットカード一枚で、弁護士や計理士の制約をうけない若い監督が傲慢に撮る映画の黄金期が再来するときが待てない。