Adobe Acrobatはトロイの木馬
redditに「2008年からPDFのスペックが更新されていないのに、なぜ毎週のようにアップデートがある？」という質問があがった。Acrobatの巨大さとアップデート頻度などはredditなどのgeekフォーラムでよく見る苦情だ。LinuxのEvinceなどは小さく収まったいる。何故御本家のAdobeはまともなPDFリーダのユーザ体験を提供できないのか？ RedditコミュニティーがAcrobatリーダの秘密を解明する。
http://www.reddit.com/r/geek/comments/ddh5p/the_iso_pdf_standard_hasnt_been_updated_since/c0zfics
明かに企業内でのAcrobatによる開発の経験のあるhowardhusというメンバーが語る：
「Adobe PDF Reader」でなく「Acrobat Reader」と呼ばれるには理由がある。Acrobatは化け物のような巨大なシステムでPDFリーダは数多くある機能に一つにすぎない。
機能は以下を含む(さらにあるよう)：
- 完全なメールサーバ
- ドキュメント・ライフサイクル管理システム
- DRMクライアント
- document tracking system (<--配分したドキュメントの使用状況を報告する機能らしい)
- form capabilities
- ドキュメント統計情報システム
- 動画・オーディオプレイアー
- 3D機能を含むCAD
などなど
SDKは500MB。マニュアルは2千ページぐらい。PDFリーダはその機能の100分の一だ。普通のユーザは99%を使うことはない。
99%の隠された機能
この機能比較表を見よ
http://www.adobe.com/products/acrobat/matrix.html
これは全てAcrobat Readerに装備されている。しかし、通常のユーザは使えない。
「pro extended」プランを購入した者にだけこのフルの機能が利用可能になるのだ。
「インスートル済み」の威力
スレッドの「インスートル済み」の威力を語っている部分
- howardhus： (開発者としてのAcrobatの魅力を説明している)
- 数多くの小さな機能を一つのパッケージにまとめてあるのが魅力
- 全てのデスクトップにpdfリーダとしてインスートル済み。開発者にはクライアントアプリをインストールするという選択肢はないのでこれに何度も救われた。
- bgausden： 銀行につとめた体験がないとこの(すでにインストール済み)重要性は理解できないろう。
- Gimli_The_Dwarf： SharePoint Servicesは無償でウェブ上でdocument lifecycle管理をしてくれる。
- briarios： 大企業はそれでも数億をかけて最低一つ場合によっては複数document lifecycle管理システムを構築する。
- 企業内でIE6が無くなるとAcrobatの存在価値は消滅する。(逆に言うとIE6が企業内に蔓延っている間はAcrobatはウェブテクノロジーによるドキュメント管理システムに対してアドバンテージがある)
Adobeのトロイの木馬戦略
Acrobatリーダが異様に巨大で高頻度で更新されるのは、実はそれが本格的エンタープライズ・ドキュメント管理システムだからだ。殆どのユーザはその機能の99%を使えないし使う理由もない。これを一般ユーザにニーズが高い「PDFリーダ」という名目で企業のクライアントマシンにニンストールさせている。
何故そのようなことをするか？ クライアントマシンに本格的なドキュメント管理システムを眠らせておくことにより、「ユーザのマシンにクライアントソフトをインストールする」という営業バリアを事前に除去しているのだ。エンタープライズ市場でのこのアドバンテージは大きい。
架空の商談
Hogeシステムズ： Acrobatより優れたドックメント管理しすてむは如何ですか？
企業A： 稼動環境は？
Hogeシステムズ: クライアントアプリをWindowsにインストール
企業A： うーむ IT部門が何というか…
Adobe: Acrobatはならインストール無しに直ぐ使えますよ
企業A： どういうこと？
Adobe: 「pro extended」を購入していだければインストール済みのAcrobatリーダがドキュメント管理システムのクライアントに変身します。
企業A： アクロバットだけ？ じゃITも文句言わんだろう。じゃそれにしよう
PDFリーダという木馬にエンタープライズ・ドキュメント管理システムを仕込んで一般ユーザのマシンに事前インストールしているのだ。素晴しいおとり商法だ。
