ジョブスからのオファーを蹴ったドロップボックスのファウンダーDrewのYCアプリケーション
Dropboxのようなスタートアップを作るファウンダーがどういうやつなのかが伺える貴重な書類だ。スタートアップに関心のある人なら一読の価値あり。
http://dl.dropbox.com/u/27532820/app.html
まずYC申込書の質問自体が面白い。PGがファウンダーとスタートアップに何を求めているかががまとめられている。
この分野において他社がどうしても分からない何を君は理解しているのか?
既存の企業に見えない観点も持っていなきゃいけないってことだ。それ以前に既存のプレイヤーが死角をもっているという前提が面白い。
君のこれから作ろうとするものが無いために、ユーザはどういうことをさせられている?
ユーザの「痛み」が何かっていう質問だ。参入する分野にユーザの「痛み」があって、それを把握していることが前提になっている。
ファウンダー同士どう知り合ったか? どれぐらいの付き合いか
YCは単独ファウンダーを受け付けない原則だ。単独ファウンダーには即co-founderを見付けさせる。DrewのDropboxはまさにこのケースに当てはまる。
もし三ヶ月後に買収されるとしたら最低の値段は?
エンジェル・ファンディングのペースの速さを伺わせる。メディアで騒がれる前に買収されているYCスタートアップが沢山あるということだろう。
どうしてこのプロジェクトは他者に真似しにくいものなの?
どういう特殊技能・知識によるバリアを持っているのか。
申込書を見るだけで、起業成功の秘訣が見えてくる気がする。
さてDrewの返答を見てみよう
こいつは天才少年だ
「自分が賢いことを示すことを」という質問に、5歳からプログラミング。14歳からスタートアップ。大学入試試験のSATで1600(100%正解)。そして暇なときにポーカーボットの開発。つまり天才少年ってことだ。
「他社がどうしても分からないこと」
の質問には既存のプレイヤーは抽象化のレベルを誤っていると説明している。オンライン・ディスクというコンセプトや、ユーザに手動操作をさせるような製品は駄目。とにかく保存ボタンを押したら何でも保存されるようにする。これを実現化しているところはないと語る。
「君のこれから作ろうとするものが無いために、ユーザはどういうことをさせられている?」
もう既にこのサービスに切り替えているビジネスの実例をあげるなど、説得力のある答えだ。既にサービスが稼動しているプロジェクトの強みだ。
「競争相手は誰?」
の質問にても同じ。ビジネス・アナリストなみの分析を披露している。詳しくは原文参照。
「どうしてこのプロジェクトは他者に真似しにくいものなの?」
各技術分野で高度な能力が必要とされ、それを同時に遂行できるチームは稀としている。大変説得力がある。
立場逆転: 投資させてやるよ
「6ー7月にかけて他にやらなくてはいけないことは?」という質問の答えに「YCからのファンディングに無関係にフルタイムで継続する」とさりげなく追加。「どうか入れてください~」と懇願が殺到するYCに逆に「一緒にやれたらいいけど、駄目なら俺一人でやるから」とその自信をチラつかせる。こうこられると、PGも「こいつは押えておかなきゃ取られる」とあせるだろう。若いのに取引や精神戦にもたけている。
この申込書、Dropboxの成功次第では末長く研究されるものになるかもしれない。