Mathematicaの作者、スティーブン・ウルフラムが語るスティーブ・ショブス

ジョブス氏の死におよんでも自己PRが絶えないウルフラム氏だが、このポストにはスティーブと仕事をした人でないと語れない面白い逸話がある。

http://blog.stephenwolfram.com/2011/10/steve-jobs-a-few-memories/

ジョブスがNeXTをやっていたころMathematicaを開発してたウルフラム。教育機関をターゲットとしていたNeXTにピッタリのアプリケーションだったので、ジョブスとせっする機会も多かったようだ。

Mathematica」という名は実はジョブスの提案だった

ウルフラムが色々候補を挙げたけどジョブスはそれを却下。結局、ジョブスが提案した「Mathematica」に決った。ジョブスは一般的な名詞をromanticize(語尾をラテン語風にするという意味だと思う)するという商品名の考案方を好んでいた。この考え方はなんとソニーの「Trinitron」にヒントを言えたらしい。若きジョブスはソニーの大ファンだったのだ。

ティーブの表記に関する提案から重要な機能が誕生

数学はわからないと言っていたジョブスだが、(数式?の)表記方法には興味を示し意見を出した。その提案の一の影響でウルフラム自身の考え方が変り新しい重要な機能が誕生したと語っている。

WWWの発明にも貢献

MathematicaがバンドルされてNeXTが発表されることになった。Tim Berners-LeeがWWWを発明したCERN(欧州原子核研究機構)はMathematicaを使うためにNeXTマシンをオーダーした。このNeXT上でBerners-Leeが世界初のWWWブラウザとHTMLエディタを構築したのは有名な話だ。NeXTがなかったら一人の人間にこのようなソフトが開発できたのだろうか? ウェブの誕生にもジョブス貢献していることになる。

デートの日に不安なジョブス

打ち合わせでNeXTの事務所にウルフラムが来ていたときの話。午後になると集中ができないともらすジョブス。どうしたんだと聞くと数日前に出立った女性とその晩デートがあるとのこと。「自身満々のビジネスマン・テクノロジストのジョブスがなんとデートのプレッシャーに溶けてしまって、このような題材に関して全く権威のない私にアドバイスを求めている…」とウルフラムは面白がっている。その女性とは二年後結婚することになったので、デートは成功だったようだと加えている。

ニュートンの本の裏表紙には能書きはなかった」

ウルフラムが著書、「A New Kind of Science」を書き上げた頃、本の裏表紙に能書きが必要と皆に言われた。ジョブスに一筆頼んだところ、色々質問をしたあげく、「ニュートンの本の裏表紙には能書きはなかった、何故そのようなものが欲しい?」と指摘され代りに綺麗なイメージで埋めることにした。

忙しいCEOはこのような作業はアシスタントに任せるか断わるのが普通だと思う。しかし、十分時間をさいて考えるというコストを費やした上で友人を援助したことにならない、否定という結論を出す。熟考のすえ要らないものを省くというスティーブの美学がこんなところにも見られる。

最後にウルフラムがジョブスの能力をまとめる:

「ジョブスは幾度も複雑な状況からそのエッセンスを見出し、その理解にもとずき大胆かつ決定的な行動をとった。そしてこのような行動は往々に思いもよらぬ方向展開するものであった」